「造り手と飲み手をつなげる??」
こんにちは。NARAです。
カーヴ・ド・ユニソンがリニューアルオープンしてから、もうすぐ1年を迎えようとしています。
コンセプトづくりからオープン準備、そしてオープン後の今日に至るまで、本当に新しいことの連続で、「大変だった」と感じることは多くありましたが、「辛かった」と思うことは一度もありませんでした。
それはなぜだろうと考えると、まず、恵まれたチームに支えられていたこと。そして何よりも、来店いただけるお客様と新しい出会いを見つけられたり、旧店舗の頃よりも深くコミュニケーションを取れるようになったことが、私にとって大きな喜びだったからだと思います。
私自身、長野に移り住んでから2年が経ちました。
これまでは、酒販店様や飲食店様、そして海外の仕入先や生産者とのやり取りが中心でしたが、今では店舗にも立たせていただき、さまざまなお客様と直接お会いできるようになりました。
日々感謝の気持ちを持つことは当然のことではありますが、こうして少し立ち止まってこれまでを振り返ると、改めてお客様にたくさん支えていただいてきたことを強く感じます。
「感謝をお客様に返していきたい」、そう言葉にするのは簡単ですが、、実際にはどうしていくのか考えたときに、まず、「私たちの仕事ってなんだろう」という原点に立ち返りました。
昔、働かせていただいたバーのマスターが、「お酒には空間を創り上げる力がある」と言っていました。
当時の私は、その言葉の意味をたいして理解していなかったと思いますが、今では少しずつ、その本質が分かるようになった気がします。
友人や家族と食卓を囲みながら、笑顔とともにお酒を楽しむ時間。
嫌なことや悲しい出来事があって、心を落ち着けたくて飲む一杯。
あるいは、なんでもない一日に、ふと手に取ったグラスの中に感じる静かなひととき。
バーや飲食店さんでの新しい出会いの後押しなんかもしてくれている気がします。
お酒は、そうした瞬間や気持ちに寄り添い、空間そのものを変えてくれる存在なのだと思います。
そして、野村ユニソンに入って、素敵なことを教えてもらいました。
それは、造り手が持つ情熱やストーリー、人柄、その土地の風景までも、お酒を通して感じ取れるということです。
造り手がどんな背景を持ち、どんな想いでこの液体を生み出しているのか。
その土地が持つ独自の気候や文化を知れば知るほど、その液体から感じ取れる情報は何倍にも広がります。
さらに、その造り手の人柄を知っていれば、グラスの中に見える表情までも変わってくるように感じます。
「お酒を通して感じ取れたのではなく、前情報があるからではないか?」と思う方もいるかもしれません。
確かに、造り手の背景や土地のことを知らずに飲めば、感じ方は全く違うでしょう。
でも私は、それでいいと思っています。お酒の味わいは、単なる液体としての香味だけでなく、知識や経験、記憶、感情、そして造り手からのメッセージ までも含めた「体験」だと思っています。
前情報があることで、その一杯に込められた想いをより深く感じ取れるなら、それは決して「錯覚」ではなく、お酒の持つ力の一部だと思うのです。
「ただ、どのお酒を選べばいいかわからない」方も多くいらっしゃるでしょう。
お酒のことをすべて完全に網羅している方はいないと思っています。
なぜなら、毎年生み出されるお酒は膨大ですし、自然派ワインでいえば、同じ銘柄でも飲むタイミングやシチュエーション、一緒に飲む人によってまったく印象が変わります。
ウイスキーやスピリッツも同じです。開栓からの時間経過、飲み方、バーでの提供の仕方など、違いを挙げればきりがありません。だからこそ、知らなくて当然なのです。
少し長くなってしまいましたが、私たちは、お客様が「お酒を選ぶ楽しさ」から「飲んだ瞬間の感動」、そして「飲んだ後にも残る記憶」まで――そのすべての体験をお手伝いしたいと考えています。
そして、ただ単に「美味しい」だけで終わらず、造り手からのメッセージにわくわくし、心を動かされるような、そんな架け橋となる存在でありたいと思っています。
私の先輩が書いた言葉に下のようなことがあります。
ー「造り手と飲み手をつなげる」こうした言葉は本当に使い古されていて、陳腐でさえあるかもしれません。だからこそもう一度、言葉通りの事をできるように、気持ちを新たに頑張ってみたいと思います。ー
この意気込みを胸に、これからも皆様の「発見」と「邂逅」のお手伝いをしていきたいと思います。
ご来店お待ちしております。

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